船舶建造の未来を形作るトレンドとは?

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Written by Ludmila Seppälä

Posted on November 18, 2024

現代では、すべてがデジタル化されています。そして、テクノロジー企業として、Cadmaticは船舶建造におけるデジタルトランスフォーメーションの最前線を担っています。では、私たちはどこに向かっているのでしょうか?

どのようなトレンドが船舶建造業界を形作っているのでしょうか?また、それらは私たちの取り組みとどのように結びついているのでしょうか?このブログでは、テクノロジー、デジタル化、そして持続可能性に焦点を当てながら、この分野での最も重要な変化について探ります。

造船業における新技術の台頭

テクノロジーは急速に進化しており、造船業も例外ではありません。過去10年間で携帯電話がどれほど進化したかを考えてみてください。同じように、造船技術も急速に発展しています。例えば、アディティブ・マニュファクチャリング(付加製造)は既に業界に大きな変化をもたらしており、3Dプリンターで予備部品を製造することが可能になっています。また、ロボット化も進展しており、製造業とデジタルの境界線が曖昧になる「インダストリー4.0」へのシフトが加速しています。さらに、エネルギー効率の向上やe燃料(電子燃料)の導入も注目すべき進化の一例です。

これらの進歩は新たな可能性を切り開いています。効率性の向上からコスト削減まで、テクノロジーは船の建造方法に革命をもたらしています。もはや手作業だけに頼る時代ではありません。自動化システムやデジタルモデルが中心的な役割を担う時代へと移り変わっています。

デジタルシフトが造船業に与える影響

造船業界では、デジタル化の進展により、私たちの働き方が大きく変わっています。紙ベースのプロセスは過去のものとなり、メールのやり取りも減少し、3Dモデルが中心となる共有デジタルプラットフォームのような協働ツールが普及しています。

デジタルツインやデジタルスレッドがプロセスの中核を担うようになり、さまざまなソフトウェアソースからのデータをシームレスに統合しています。この変化は単に作業手法を変えるだけではなく、情報管理や複雑なワークフローの効率化に対する考え方そのものを変革しています。

このデジタル革命の中心にあるのは情報管理です。年々情報量は指数関数的に増加しており、その扱い方がこれまで以上に重要になっています。造船において、情報はまさに力です。情報を駆使することで、より環境に優しい船舶や、より複雑な船舶を、少ないリソースで迅速に建造することが可能になります。

持続可能性は世界的な課題

造船業界において、今後最大の変化となるのは持続可能性です。現在、代替エネルギーを使用する世界の船舶は全体の1%未満に過ぎませんが、状況は大きく変わろうとしています。DNVのデータによれば、将来の発注書に記載されている船舶の約25%が、水素や電気といった非標準的なエネルギー源に依存する予定です。このトレンドは単なる排出削減にとどまらず、e燃料、WASP(風力補助推進)やその他の新技術を活用して、船舶の設計や動力源のあり方を根本的に見直す動きでもあります。

造船業者にとっては、新しい素材、技術、エネルギー源への適応が求められます。業界はより環境に優しい未来に向けて進んでおり、私たちはその準備をしなければなりません。単に規制に従うだけでなく、環境に優しく持続可能な船舶を創り出すリーダーシップを発揮することが重要です。

アイコン・オブ・ザ・シーズのコンセプトイメージ。画像提供:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル

デジタルモデル、プロセス、資産:造船の未来

造船はますます複雑化しており、全長365メートルで7,500人の乗客を収容する「アイコン・オブ・ザ・シーズ」のような船舶が、現代のプロジェクトにおける精密さを象徴しています。これからの造船業では、この複雑さを管理するためにデジタルモデルがますます重要になっています。デジタルツールを活用することで、これまで不可能だった方法で設計を視覚化し、最適化することが可能になります。

しかし、変化しているのはモデルだけではありません。造船のプロセスそのものも進化しています。プロジェクト管理、変更管理、情報管理といった分野がデジタルツールによって再構築され、より迅速で一貫性があり、効率的な作業が可能になっています。これこそが、デジタル造船の実現形です。

そして、この進化は船が進水した後も続きます。船舶のデジタルモデルは、設計段階からメンテナンス、アップグレードに至るまで、そのライフサイクル全体を通じて活用することができます。現在議論されている重要な課題の一つは、このデジタル資産を誰が所有すべきかという点です。造船所、船級協会、船主のいずれが管理するのかは、デジタルツインの可能性を最大限に引き出す上で重要な論点となっています。

造船5.0の時代が目前に

現在、「造船4.0」が話題となっていますが、未来はすぐそこに迫っており、「造船5.0」の時代が訪れようとしています。この新しい時代では、持続可能性、レジリエンス(回復力)、そして人間中心主義が新たな柱となります。

デジタル化や自動化が変革の主要な推進力であった一方で、造船5.0は「人」の役割に焦点を当てています。

この人間中心のアプローチでは、テクノロジーを活用して人々を支援することを目指しており、テクノロジーが人間に取って代わることはありません。マイクロソフトが展開するAIツールやCadmaticのソリューションに統合された技術は、チームを支援するために設計されており、私たちが本来得意とする分野、すなわち「より良い世界のために、より良い船を建造すること」に注力できるようにします。AIは既に造船分野に進出しており、近い将来、共同操縦者(コパイロット)のような役割を果たし、よりスマートで効率的な作業を可能にしてくれるでしょう。